人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イギリス 西ウェールズの田舎暮らし

enjoywales.exblog.jp
ブログトップ

模倣犯1~5巻 宮部みゆき著 新潮文庫

昨日ようやく宮部みゆきさんの「模倣犯」1~5巻を読み終える。
もう11年も前に文庫化していてベストセラーでもあったようなので、読んだ人も多いだろう。

今年始めに友人から借りた、東野圭吾の「時生」と「予知夢」に続いて、宮部みゆきの「我らが隣人の犯罪」「取り残されて」「蒲生邸事件」に「鳩笛草」と、イースターホリデーが始まったと同時に一気読みした後取りかかったので、さすがに疲れた~。

東野さんの「時生」と「予知夢」、特に「時生」は読み甲斐があったのだけれど、宮部さんの作品はちょっと寂しげで悲しげで、人の痛みが本当に上手く表現されていてほとほと感心してしまう。

「取り残されて」と「蒲生邸事件」はSF小説もの、「鳩笛草」には超能力者が出てきたりと、読む前には「?」マークが頭に浮かんできそうだけど、これが宮部さんの手にかかるとむむむ~と唸るほどに良い小説になってしまうのだ。

「火車」を読んだ時に、こんなスゴイ作家が出てきたのか!とビックリしたのを覚えているが、彼女の書く作品はどれもこれも質の高いものばかりというだけでなく、バラエティーに富んでいて、読むたびにむむむ~っと唸らせっぱなしなのである。

そんな訳で、最後に取っておいた「模倣犯」を読むのを楽しみにしていたのだけれど、期待以上の読み応えだった。ふう~。ただ、一家殺人事件やら連続誘拐殺人事件が話の軸になっているので、そういうのは好きでないという人にはお薦めできない。

話しの展開はもちろんのこと、キャラクターの豊富さと現代社会の描写が素晴しい。
二つの事件に関わる人々・・・、被害者の家族や関係者、警察、マスコミと犯人。
特に被害者の家族が丁寧に描かれているので、やはり想像を絶する痛みがよく伝わってくる。
暗いテーマではあるので、どっぷり悲しくなったのだけれど、宮部さんは本当に人間が好きなんだなぁ、なんてしみじみと思った。

こんな作品を読んだ後は、しばらく休憩。
by enjoy-wales | 2012-04-12 22:04 |